テストマーケティングの進め方:LPと広告で新規事業の需要を約2ヶ月で検証する手順と結果の読み方
大企業の新規事業のテストマーケティングとして、LP(紹介ページ)と広告で需要を検証する手順を、約2ヶ月の週ごとのスケジュールで解説します。社内承認や広告審査で止まる問題、社名や価格の載せ方、申込後のフォローまで、現場で迷いやすい点をまとめました。

Key pointsこの記事の要点
- LPと広告による検証で分かるのは入口の反応で、申込者との面談までを検証の範囲と考える。
- 止まりやすいのは制作ではなく社内承認と広告審査のため、第1週までに承認ルートと広告アカウントを用意する。
- 結果は申込数だけでなく、「どこで止まり、なぜ止まったか」で報告する。
新規事業のアイデアを、まだ製品がない段階で確かめたい。そんなときによく使われるのが、LP(紹介ページ)と広告を使った検証です。サービスの紹介ページを1枚つくり、広告で見ず知らずの人に届けて、申込があるかどうかを見ます。
やり方はシンプルですが、大企業で実際に回すと、「LPの公開に1ヶ月かかった」「申込者への連絡が遅れて話が進まなかった」といった壁にぶつかります。
この記事では、LPと広告での検証を約2ヶ月で終えるための進め方を、週ごとに整理します。あわせて、実際に検証を回すと「ここで止まるのか」「ここで判断を誤るのか」と気づくポイントを「現場のリアル」としてまとめました。
こんな方に向けた記事です。
- 新規事業の担当になり、製品をつくる前にニーズを確かめたい
- LPと広告での検証を考えているが、社内の手続きを含めた段取りが分からない
- 検証の結果を、経営層に説明できる形で持ち帰りたい
LP検証で分かること・分からないこと
LPと広告での検証は、「この課題を抱えた人が、この提案に手を挙げるか」を確かめる方法です。製品がなくても始められるのが強みですが、分からないこともあります。
| 分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 想定した相手が、この課題や提案に反応するか | 実際に使い続けてもらえるか |
| どんな言葉や切り口に反応が集まるか | 導入後にどれだけの効果が出るか |
| 申込者がどんな状況で、何に困っているか | 社内の決裁を通って、本当に契約に至るか |
LP検証は、あくまで入口の反応を見るものです。ここで手応えがあれば、申込者へのインタビューや、試作品を使ってもらう検証に進みます。何を確かめたら次に進むのか、という判断基準のつくり方は、PoCの「次に進むか」を決める判断基準のつくり方で詳しく解説しています。
全体スケジュール(約2ヶ月)
検証の期間は、準備の週を含めて約2ヶ月を目安にします。広告の配信は4週間ほどで、その前後の準備とフォローにも同じくらいの時間がかかります。
| 週 | やること | 終わったときの状態 |
|---|---|---|
| 第0週 | 仮説と判断基準の整理、社内の確認ルートの洗い出し | 誰の確認が必要かが分かっている |
| 第1週 | LPの構成と原稿、広告アカウントの準備 | 原稿の初稿があり、広告を出せる状態になっている |
| 第2週 | LPの制作、フォームの設計、社内の確認 | LPが完成し、公開の承認がとれている |
| 第3週 | 計測の設定、テスト申込、広告の入稿 | 申込が正しく記録され、広告の審査が通っている |
| 第4〜5週 | 広告の配信、週1回の振り返り、申込者への連絡 | 申込者との面談が始まっている |
| 第6週 | 配信の継続、必要なら1回だけ修正 | 判断に必要な数の反応が集まっている |
| 第7週 | 申込者との面談、数字の整理 | 数字と面談の内容がそろっている |
| 第8週 | 結果のまとめと判断 | 「進む・見直す・やめる」が決まっている |
ポイントは、広告を出す前の3週間で、社内の手続きをすべて片づけておくことです。
第0〜1週:始める前に、社内の段取りを片づける
最初の週にやるのは、LPのデザインではありません。誰の確認を通せば公開できるのかを洗い出すことです。
大企業でLPを公開し、広告を出すには、次のような確認が必要になることが多くあります。
- 広報・ブランド管理の部署:社名やロゴの使い方、対外的な表現
- 法務の部署:サービス内容の書き方、利用規約、個人情報の取り扱い
- 情報セキュリティの部署:フォームで集めた情報の保管場所、外部サービスの利用
- 経理・購買の部署:広告費の支払い方法
第1〜2週:LPをつくる
LPに載せる要素は、それほど多くありません。
- 誰のための、何のサービスか(ひと目で分かる見出し)
- どんな課題を解決するのか(相手の言葉で書いた困りごと)
- どう解決するのか(できることを3つ程度)
- 提供の状況と条件(先行案内中であること、価格の目安)
- 申込フォーム

社名を出すか、出さないか
大企業の新規事業で、必ず議論になるのが社名を載せるかどうかです。社名を出すと信頼されやすくなりますが、別の問題も生まれます。
第2週:申込の「重さ」を設計する
LPの成果は、申込の数で見ます。ただし、同じ「申込」でも、相手にとっての重さはまったく違います。どの重さの申込を集めるかで、結果から言えることが変わります。
| 申込の種類 | 相手の負担 | 分かること |
|---|---|---|
| 資料のダウンロード | 軽い | 課題やテーマへの関心 |
| 先行案内への登録 | やや軽い | 提供が始まったら知りたいという関心 |
| 無料相談・説明の予約 | 重い | 時間を割いてでも話したいほどの課題 |
| 先行申込・見積もりの依頼 | とても重い | お金を払う前提での検討 |
重い申込ほど数は少なくなりますが、ニーズの証拠としては確かになります。検証したい仮説に合わせて選びましょう。
第3週:計測の準備と、公開前の確認
広告を出す前に、申込が正しく記録されるかを確認します。ここを省くと、配信してから「計測できていなかった」と気づき、それまでの広告費が無駄になります。
公開前のチェックリスト
- LPの閲覧、フォームの表示、申込の完了が、それぞれ記録されているか
- 広告ごとに、どこから来た申込かを区別できるか(リンクに識別用の目印を付ける)
- 実際にテスト申込をして、記録と通知メールが届くか
- 社内からのアクセスを、集計から除外できているか
- スマートフォンでも、フォームが崩れずに入力できるか
- 申込のお礼メールに、次に何が起きるかが書いてあるか
社内からのアクセスは、思った以上に数字を乱します。関係者が確認のために何度もLPを開くからです。社内に共有するときは、集計から外れる確認用のURLを別に用意しておくと安心です。
第3〜6週:広告を出して運用する
広告は、検証したい相手に届く出し方を選びます。大企業向けのBtoBサービスの場合、大きく2つの考え方があります。
- 検索広告:課題を抱えた人が検索しそうな言葉に合わせて出す。課題がすでに意識されているかを確かめやすい
- SNS広告:業種や職種などの条件で相手を絞って出す。課題をまだ意識していない層の反応も見られる
検索広告で反応が集まらないときは、課題がまだ言葉になっていない(その言葉で検索する人がいない)可能性があります。これ自体もひとつの発見です。
広告費は、「いくらまでなら出せるか」ではなく、「判断に必要な数の反応を集めるにはいくら必要か」から考えます。たとえば「申込率〇%を超えたら進む」と決めているなら、その率を確かめられるだけのLP閲覧数が必要です。閲覧1回あたりの費用は業界や出し方で大きく変わるので、最初の1週間の実績を見て、残りの予算配分を見直しましょう。
申込があったら:フォローの速さで結果が変わる
LP検証は、申込が来たら終わりではありません。むしろ、申込者と話すことが検証の本番です。申込の数だけでは、「なぜ手を挙げたのか」「どれくらい困っているのか」は分かりません。
申込者との面談では、次のようなことを聞きます。
- LPのどこを見て、申し込もうと思ったのか
- いま、その課題にどう対処しているのか
- 解決するとしたら、社内で誰が判断するのか
第7〜8週:結果を読んで判断する
最後の2週間で、数字と面談の内容を整理し、判断します。結果を読むときは、申込の数だけを見るのではなく、どこで人が止まったのかを順番に見ていきます。

| 止まった場所 | 考えられること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 広告が表示されても、クリックされない | 広告の言葉が相手の課題に響いていない、または届く相手がずれている | 広告の言葉や、出す相手の条件 |
| LPは読まれるが、フォームまで進まない | 課題には関心があるが、提案や条件に納得していない | LPの提案内容や価格の見せ方 |
| フォームは開くが、送信されない | 申込が重すぎる、または入力の手間が大きい | 申込の種類やフォームの項目 |
| 申込はあるが、面談につながらない | 関心は軽く、課題はそれほど強くない | 申込者の状況と、自由記述の内容 |
よくある質問
広告費はどれくらい用意すればよいですか?
一律の目安はありません。業界や出す相手によって、閲覧1回あたりの費用が大きく変わるためです。判断に必要な数を先に決め、最初の1週間の実績から見積もり直すのが現実的です。予算には見直しの余地を残しておきましょう。
社内のリソースだけでLPをつくれますか?
つくれます。大切なのはデザインより、見出しと課題の書き方です。ただし、LPの作成に外部のサービスを使う場合は、情報セキュリティ部門の確認が必要なことがあります。
申込者に「まだサービスがない」と伝えると、不満を持たれませんか?
LPに先行案内であることを明記していれば、大きな不満につながることはまれです。最初の連絡で「一緒にサービスを形にしていく段階です」と伝えると、むしろ自分の意見が反映されることに前向きな方も多くいます。提供開始の時期が決まったら、必ず案内を送りましょう。
まとめ
- LP検証で分かるのは「入口の反応」。申込者との面談までを検証の範囲と考える
- 止まるのは制作ではなく、社内の承認と広告の審査。第1週までに承認ルートと広告アカウントを用意する
- LPは作り込みすぎない。社名は載せても主役にせず、価格は目安だけでも載せる
- フォームには任意の自由記述を1問入れ、書いてくれた人の数も見る
- LPの修正は週1回の振り返りで決め、変更の記録を残す
- 申込者には翌営業日までに連絡し、結果は「どこで止まり、なぜ止まったか」で報告する
DADAでは、検証の設計から、LPの制作、広告の運用、申込者へのインタビュー、判断材料となるレポートづくりまでを伴走しています。LPと広告での検証を社内でどう進めればよいか迷っている場合は、お気軽にご相談ください。


